黄昏時のラクガキ
騒魂歌


 OD(オーヴァードライヴ)
 ペダルを踏んだら
 尾てい骨から急激に入り込み
 心室を除細動する

「見ろよマスター、あいつドーパミンの出し過ぎで下半身をフレンチ95に吹っ飛ばされたってのに上半分だけでまだ踊ってやがるぜ」

 鎮魂しないレクイエム

「このエフェドリン野郎、そのこめかみから生えたボルトを無理くり引き抜いてやるから待ってろてめぇの伸びきったパンツのゴムなんていらねぇんだよ」

 意味があるのは
 バイブレーション
 それかあるいは
 タナトス(死)

「あいた口が塞がらないってか、銀歯が整然と並んだその顎関節症にパイナップルを投げ込んでみせるからそのままとべよ」

 OD(オーヴァードライヴ)
 無為が飛んでも
 蓄熱がある


にえ、にえ、にえ、にえ、にえ、にえ、にえ


 ガッ
  ガガッ
 ガッ


  歪(ひず)め


('07.8.31)


2007-10-12 Fri 20:24
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そぼ降る夜の恩赦


信じられないというような顔で
コツコツコツと雨が降り出した
煙草の先がチッと音を立てたら
血色の悪いつまさきが硬くなる

時計台の短針にすわって
ゴチゴチという音を聴く
今夜は風が吹かないから
見えないほうの瞳が重い

いつも真摯ではいられないため
打ちのめされそうになった音達
プラタナスの枝先に引っ掛かり
耳をつんざくことも心得ぬまま


備忘をやめた木々が、黒くまた黒く濡れた
健忘すればいいのだ、すこやかなるものよ


('07.8.20)


2007-10-08 Mon 18:16
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吹き抜け
あれ

ずいぶん寒いな

もう木枯らしか

と思ったら

胸のところに

穴が空いていたよ

吹き抜けだったよ

風が吹き抜けていたよ



まぁいいか

ある意味

さわやかじゃないか
2006-11-22 Wed 00:20
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FRAGILE
ひとは壊れやすいもの
“FRAGILE”の貼り紙はられた宅配便
パスカルの言葉を借りれば
“人はひとくきの葦”“最も弱い生き物”だ
それを知らない者達は
いつも好き勝手なことを言う

「もっと強くなれ」だとか
「頑張れ負けるなもう一歩」だとか


なぁみんな
正論はもう聞き飽きたよな?

僕が言うのは詭弁だが
正論なんかよりマシなんだ

すべてのものを疑って
すべてのものを受け入れよう

弱さだろうがありのまま
僕と一緒に強くなろ?

弱いままだっていいんだ
詭弁でいいから
強くなろ?
2006-11-19 Sun 23:51
別窓 | 真夜中のラクガキ | コメント:2
僕はそれでも生きていく
ハチに襲われたことがない人が
ハチの怖さを知らないように
アリに襲われたことがない人が
アリの怖さを知らないように
クマに襲われたことがない人は
クマの怖さを知らないのだろう

病気に襲われたことがない人が
病気の怖さを知らないように
狂気に襲われたことがない人が
狂気の怖さを知らないように
死に襲われたことがない人は
死の怖さを知らないのだろう

僕はクマの怖さは知らないが
死の怖さは知っているんだ
病気も狂気も知っている

ハチも怖けりゃアリも怖いし
病気も狂気も死も怖い



だからなんだってことはないが
君は魚を殺したことがあるかい?
他のなにものでもいいが
殺して食べたことがあるかい?

僕は
豚を食べる
牛を食べる
ニワトリも食べる
生きた魚をさばいて食べる
他にも色んな生き物を食べる

わるいけど
僕はそれでも生きていくよ
2006-11-19 Sun 01:42
別窓 | 真夜中のラクガキ | コメント:2
掠れたピリオド
無限に散らばった紙片の中から
描いたコラージュ
僕の姿を描いていたのか
君の姿を描いていたのか
作品は完成したのか
未完成で終えたのか

僕は今でも分からないんだ


無量に広がったトーンの中から
紡いだアリア
闇の光を奏でていたのか
光の闇を奏でていたのか
codaは演奏できたのか
al fineと書いたのか

僕は今でも分からないんだ


描き上げる前に
嘘を混ぜれば良かったのか
嘘は混ざってしまっていたのか
書き上げる前に
僕を壊せば良かったのか
僕は壊れてしまっていたのか


ただ
僕は間違ってないと
信じることだけ
すでに手元にはないのだから
今僕にできるのは
それだけ
2006-11-18 Sat 01:06
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宵闇の時計
足りない
アクア・ヴィテ
我が
血液
麻酔
睡眠剤

今宵も時計がやかましい


満たない
アクア・ヴィテ
我が
脳漿
麻薬
安定剤

今宵も時計がしゃべり出す


やめてくれ
おまえの声は聞きたくないのだ
非難したくも
されたくもないのだ
追憶にすがりたくも
すがられたくもないのだ

せめて光を浴びる前に
その口を閉じてくれ
せめて光を浴びた時に
この身を灰に還してくれ
2006-11-02 Thu 00:19
別窓 | 真夜中のラクガキ | コメント:2
不崩
すべてのものは時の流れに崩壊してゆくけれど
時に崩れてゆくことがない何かが
存在するのかどうか

僕はそれが知りたい

もし
それが存在するなら
信じていたい

存在するか分からないなら
信じるとする

存在しないと知らされたなら
それでも盲信するだろうか…
2006-10-18 Wed 00:45
別窓 | 真夜中のラクガキ | コメント:0
影に追われて
影が
変質する
歪んだ光を受けて

影が
浸食する
張り付いた両足に

このつま先から
無機質な闇へ変換されてゆく


走っている間は平気なんだ
両足は地面から離れているから

立ち止まったら
追いつかれるのさ


もうそうなったら
ただ浮かべられるのは
苦笑い


そうなる前に
君の面影が浮かべられれば
微笑みで
2006-08-01 Tue 00:54
別窓 | 真夜中のラクガキ | コメント:0
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