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おい、風よ 気が早すぎるんじゃないか 得意顔して びゅう、と吹き 桜はいいさ 急いで膨らませればいい ラッパスイセンたちは 身支度に少し慌てているようだ 雪を降らせることもなく 冬がいなくなるのは淋しい ペンギンを冷蔵庫に住まわせるのは 酷だ 暖かいのか冷たいのか よく分からないから どうにも 風邪をひいてしまったよ 内陸の盆地にもかかわらず トンビが一羽、まあるく滑空している 季節と一緒にあいつも狂ってしまったか 飛行機雲がトンビをつらぬき 二本の平行線を解け合わせながら 南西の空へ突き進む 空よ 紺碧の水晶の向こうに 何を見せようとしている 宇宙まで透かして ベテルギウスが何光年先にあるか リゲルに生命体の反応はあるのか いつもなら気にかかるところだが とりあえず今はどうでもいいんだ オリオンより向こう側 季節が虚しく流れないために 風が淋しく吹かれないために 俺はうたってる 深海のシーラカンス 君も おんなじだろ? 1・2・3 で 風のワルツを 俺と踊るかい? 君のことが知りたいんだ 冬は好きだったかい? |
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ステンのやかんで湯を沸かし
凍った車の視界をひらく午前七時 柔らかさを帯びた空気の向こうに こっぽり と浮かんでいるあれは マリーゴールドの豊潤 あるいは熟れた蜜柑に似た 色 明け方の津波のような悪夢は フロントガラスの霜と溶かして 湿り気で霞んだ薄青のあたりに こっぽり と浮かんでいるあれは 鮮やかな卵の黄身の濃密 あるいはカーブミラーに似た 顔 くじらの背中のアスファルト 夜の駆ける道筋は 対向車のハイビームに目をやられて しばしば身体を見失ってしまう いつだってやさしいものから 記憶のミルクを零していくから 大事なものたちの名を忘れないように つぶやく 呼ばなきゃ 名を ああ 思い出した レッドチェダーが融解し 夕張メロンの果肉が 透明に燃えている まる あれは おひさま と、 呼ぶのだ そのいろ こころ あたため |
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寒い 寒いぞ 冬 暖冬はいとよろしうない 冬なら寒くこそあらめ 俺の関節はブリキのギアで出来ているから 油が冷気で固まり落ちて ギィギィと音を鳴らす おまえが深海で酸素が足りないと嘆くなら 俺がそばまで沈んで空気をやろう 海の底の暗闇でキスをする 俺の目玉はヒノキを丸めて作ったから 黒目はまるでのっぺらなラクガキで 少しだけ世界が色褪せている おまえが天空へかなしい雲の翼を喘ぐなら 俺が飛べない羽根をうたってやろう 空の底のひだまりで名を呼ぶ 望むなら おまえの世界を素敵にしてやる この心臓にちょいと喝を入れれば この肺胞が生み出す空気で おまえを素敵にしてやる 寒い 冬 だから かなしみを吹き消して |
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アナグラム
なんだか 機動的な 語感だ 今夜は妙に アナグラム が煽動的だ ゆえに 「アナグラム」 を元に アナグラム を 用いてみたい 胸ぐらぁ掴んで噛み付く 穴蔵から出たクマの黙示録 ラグタイムを置いて グアムから来た使者の顕示欲 村の者たちは 奈良の大仏のたもと 胡座にて「南無」と呟く うむむ・・・ フォッサマグナを溝とするなら なんとも生きにくい世の中よの アナグラムにて言葉は 醜くも美しくもなるやもしれぬ もうしばらく 研究することにしよう アナグラムの 速度と加速度とベクトルをまずは計測しなくては |
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オノマトペ
なんだか 魅力的な 語感だ 今夜は妙に オノマトペ が蠱惑的だ ゆえに 「オノマトペ」 という オノマトペ を 使ってみたい 今日は晴れの舞台の日 晴れ舞台との比喩を使うまでもなく 今日の舞台に君は立つ 幼稚園の学芸会だ 幕が開く 普段からすこし おっちょこちょいの君は ソデから登場した瞬間 スカートの裾を踏みつけて オノマトペ っと すっころんだ う〜ん・・・ 悪くはないが ナンセンスが足りないな 君と付き合いだしてから 今日初めてのケンカした 初めてだからなおのこと ご機嫌取りがむつかしい 全てカードは出し尽くし 最後の一枚だオノマトペ ベッドの中でオノマトペ オノマトペったらオノマトペ う〜ん・・・ ナンセンスもいまいちないセンス しかもすでにオノマトペからズレ始めているような もうしばらく 研究することにしよう オノマトペの 比重と粘度とPHをまずは測定しなくては |
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