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春に迷い込んだ赤とんぼが
ゼンマイをキリキリとうたわせた ブリキのオモチャのその中の ブリキでできた心臓に あんまりとんぼが赤かったから ブリキはとんぼに恋をした オモチャであることを忘れてしまって 「自分も飛べる」とゼンマイを巻き 歯車が欠けないうちに つかまえておかなくちゃ 夕焼け色の赤とんぼ 秋に飛び立つはずだった うっかりさんのこと もうすぐ言葉を忘れてしまう ゼンマイは巻きすぎて切れてしまった 廃墟に不時着したままで 雨にブリキは朽ちてゆくだろう 言葉を忘れてしまう前に うたっておかなくちゃ 夕焼け色の赤とんぼ 秋に飛び立つはずだった うっかりさんのこと 春にひとりきりだった 赤とんぼのその名を 廃墟に生えた草の合間で ブリキはうたった |
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あの日の言葉を 僕は今日こそ言えば良かった そして君が 恥ずかしそうに優しい微笑みをたたえて その意味を飲み込んでしまう寸前に 僕は言うのさ 「馬鹿だなぁ、今日はなんの日?」 ゆうべの答えは 僕は今日こそ訊けば良かった そして君が 痛々しくて哀しい微笑みを浮かべて その罪を浴びようとするより早く 僕は言うのさ 「馬鹿だなぁ、今日はなんの日?」 桜が咲いて そして散るまでの間の物語だよ ね 今日、笑ってしまえば良かったね もうすぐ 僕らのために 桜が散るよ どこまでも白く 桜が散るよ 今日ならば 君も僕も嘘がつけたのに ね 今日、笑ってしまえば良かったね もうすぐ 天使の白い羽根が無数に舞い降りて 君と僕を赦すよ 嘘をつくことができずにいた僕らを まるごと嘘に代えてしまったその罪を さぁ 白の舞い散る舞台の 幕が降りようとしているよ そこで会えたら どこまでも白く 笑って |
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