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真紅の薔薇が日々を分光する 赤/黄/緑/青 その赤だけを銀のスプーンで掬って ボロネーゼソースに仕立てる ヒヤシンス絆す忘国の姫君は 黒髪を手櫛で梳くように カペリーニを茹で上げながら スワヒリ語で子守歌を歌う カンブリア紀の前庭で 黒猫があくびをして ちろり赤い舌をのぞかせ 薔薇がまたその赤を分光する 赤からすべての色へ すべての色から赤へ |
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ゆで卵の殻がうまくはがれずに白身の表面に張り付いた薄皮のような、ホットミルクに浮かぶタンパク質が固まってしわの寄った膜のような、油分も水分もからっきし抜けてしまった皮膚の下に、外気に放置してくたびれてしまったこんにゃくゼリーのような、腐りかけて白く濁ったナタデココのような、滞ったリンパ液でむくんだ肉がある。 それらは青白く褪せながら黄疸によって黄色く染まっていき、表面の染みが汚点のように目立つ。 まぶたは浅黒く落ちくぼんでしまって、もともと一重だったのが三重か四重になっている。 日々、 徐々に、 死が染みこんでいく。 今日この日を過ごすのはとりわけ辛いことだったが、 内面の倫理に還元しようというつもりはない。 外に向かって道徳をうったえるつもりもない。 何もせず、 何もできず、 何もしてこなかった。 これが事実で、 これが現実だ。 だから いつものように、 いつもどおりの俺で、 ぶっきらぼうに声をかける。 かなしみが よごれっちまわないように 今 母の暮らした家では 母が長年育てたバラが、 真紅とピンクのちょうど中間 柔らかく可愛らしい色のバラが 実に誇らしげに咲いている |
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ほーかい崩壊 放火学会 メラメラ燃えろ メラ燃えろ メラギラギガ ギガンテス 鉄 窒素 テッチッソ! テッチッソ!! テッチッソ!!! いいかこの世はスピードが勢いなんだ 善いことはカタツムリの速度で走れ 悪いことはクシャミの初速度で突き抜けろ どの瞬間も一喜一憂だ どの共感も阿鼻叫喚だ ガッッつって バリゾーゴンの 胸ぐらつかんで引き寄せたら 熱狂的なキスをしろ 舌つっこんで 唇がしびれてカサカサになるまで れろれろ れろれろ 舌噛みちぎって もう言葉はいらない 畢竟それでも死ぬ気がしない 血の味がすりゃ十分だ 月を睨みつけて ウサギにカニに 吠えろ 咆えろ 吼えろ がおー がおー がおー |
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地面は噴火したがっている 東急の下もマルイの下もドンキホーテの下も。 オカンはアフロにしたがっている 翼のある鳥を飼いたいそうだ。 ダンデライオン、 おまえの息の根の“根っこ”はどこにある? 住宅街の外れの川沿いのバルブ工場は、 螺旋のミゾを切ったドリルのような煙突で イカスミ色の黒煙を曇天に突き上げて“神様”を燻り出そうとしているが 所詮は豚の薫製がライン生産されるだけだ。 ベーコンともいうがそれはそれで合理的だ。 オカンのアフロから一羽のカラスが孵った。 コイツが飛べるのかどうかはまだ分からないが 「キョーダイ、仲良くやろうぜ」とオレは声を掛けた。 根無し草の“根っこ”など、どこにもない。 |
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