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今日は死ぬにはとてもいい日だ 草穂を揺らす風が吹く ヒマラヤスギが黙然と立つ落日 強さの代わりに口を閉ざすんだ 風がすわりと立ちはらむ草原で 空気に重さがあるということを 彼らは厳かに語ろうとしている シルバーアロワナの鱗のような あれは一体誰のための雲だろう 流れているのか漂っているのか そらに始点も終点もないとして 明日が普遍してもいいと思った 八雲を散らす風が吹く 今日は死ぬにはとてもいい日だ |
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OD(オーヴァードライヴ) ペダルを踏んだら 尾てい骨から急激に入り込み 心室を除細動する 「見ろよマスター、あいつドーパミンの出し過ぎで下半身をフレンチ95に吹っ飛ばされたってのに上半分だけでまだ踊ってやがるぜ」 鎮魂しないレクイエム 「このエフェドリン野郎、そのこめかみから生えたボルトを無理くり引き抜いてやるから待ってろてめぇの伸びきったパンツのゴムなんていらねぇんだよ」 意味があるのは バイブレーション それかあるいは タナトス(死) 「あいた口が塞がらないってか、銀歯が整然と並んだその顎関節症にパイナップルを投げ込んでみせるからそのままとべよ」 OD(オーヴァードライヴ) 無為が飛んでも 蓄熱がある にえ、にえ、にえ、にえ、にえ、にえ、にえ ガッ ガガッ ガッ 歪(ひず)め ('07.8.31) |
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乳歯も生えそろわない少年が 河原で石をほうってた それはどこにでもある河で 石は丸みを帯びてないから 石を積み上げるのがどうしても嫌で 少年はセラミックの涙を流しながら 黒い玄武岩の石は硬くて 手のひらからはビロードの血が ここには物干し竿はないから 洗濯物がはためかない 涙を拭う やわらかいタオルもなく 血を拭う まっしろいガーゼもなく 賽の河原には辿り着かず 積み上げることを拒んで 黒い石を拾い続けている 何度も何度もほうるため 河原で石をほうってた 少年は 過ぎることを悔いない 少年は どこへともかえらない ('07.8.27) |
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信じられないというような顔で コツコツコツと雨が降り出した 煙草の先がチッと音を立てたら 血色の悪いつまさきが硬くなる 時計台の短針にすわって ゴチゴチという音を聴く 今夜は風が吹かないから 見えないほうの瞳が重い いつも真摯ではいられないため 打ちのめされそうになった音達 プラタナスの枝先に引っ掛かり 耳をつんざくことも心得ぬまま 備忘をやめた木々が、黒くまた黒く濡れた 健忘すればいいのだ、すこやかなるものよ ('07.8.20) |
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ぼくがうたをわすれても みつけだしてくれるかい シンバルのオモチャでも つかんでいてくれるかい 死体を晒さぬカラス 月にかくれた月蝕に問おう 倒錯しないか 好きだった白薔薇の白 赤錆びの鉄をなめた味 自転車にのせた青草の匂い こふ、と気管をこする擦過音 白い壁には 黄ばんだ幻覚が浮かんで カッと見開いて 見てみろ おまえの口端からペイズリーがはみ出してるぜ パーマネントのスフィア 春の終わりに喪った断続が カラスを抱いて白いサルを連れ去った 短い爪の先に赤土をめり込ませ 夏に降り積もる霜をほじくり返す 白骨を拾い集めながら うたを おもいださなきゃ せかいを愛す うたを ('07.8.11) |
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