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深い藍を伴った夕霧はルリスズメダイの色 イルミネーションは腐臭のする街灯の影を逸らす 架せられた子への賛美歌は誰しもを赦す だが、その子ひとりを守ろうとはしない 誰だって誰かの命を救いたいと願っていて つまり、魂ひとつ受け入れることなのだろう 今宵も明日も雪が降るか、なんて知ることはない |
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君が目を瞑っている間に 穏やかな農村が戦場の中心になり 少年が自動小銃の銃床を掴み 田畑はクレイモアの温床になり 迫撃砲が民家を次々と破壊して アパッチがヘルファイアで文字通り 私は何にも理由を求めない |
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彼はブロック栄養食のみを食べている ベジタリアンならぬブロッカリアンだ 「だって雨が降っているじゃないか 知ったら分からないから分からないのを知ってる ずぶ濡れだって食べられるんだぜブロックは」 駅前の、ヒトよりハトのための公園で別れた彼は 置き手紙の文字のように幾分か斜めに傾いで見えた |
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朝、出勤しようと思ったら靴がない 玄関脇の靴箱に尋ねてみると 「皆様、長旅に出て往かれました」と言う そうか、長旅に出たなら仕方ない 履き潰す前で良かったそういえば、 俺が最後に旅に出たのはいつだったろう いつもより少し大股で歩く素足で |
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今宵のステージは「ガイコツが踊らナイト」です 皆様、存分にホネをご堪能下さいませー! あそこのヤツ、あんなスカスカのホネで 骨粗鬆症じゃないのかいまにもおれそうしかも黄色で おぅわ、ヘッドスピンかましてるヤツがいる 脳天ツルツルだからまわるまわるまわるホネボネ ああホネ!!ああホネ!!ああホネ!!ああぁー |
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天球を半ば覆った夕暮れが燃え 肺胞には空気が足りぬ自明の理 お天気予報に言わせれば あと十五年は夕暮れらしい 結局は息の仕方も忘れちまったし、 吸うなら吸うで煙草があるから どうって事はないのだけれど。 |
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あえかなる銀色の鈴が響き渡らせた音色に 目を醒ますことのできた優しさのアイソトープが 数多くの放射性物質を虐殺し続けた僕に 「あなたは間違ってはいない、少しずれただけ。」 と囁いた その瞬間、僕はX線になり、だけどY軸との交点が見つからなくて フィルムには骨格の影だけを遺した。それでもいいだろう。 |
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泳ぎの苦手なアカウミガメのような手つきで 人人人人人人波を掻き掻き掻き掻き掻き分け分けて サバンナで自己同一性を主張するシマウマのような白黒で 幼子の願いもろとも切符を引き込む自動改札を抜け切った そこは草原だった 草の緑と空の青、染まることなき雲の白 一縷の迷いもない輪郭、つまり、あたりは草原だった |
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まっしろな孤独が ストーブの前でひざを抱えて居座っています 僕らが消費し尽くしたものがいずれ 贖罪を求め押し掛けるのでしょう 常夏のココナッツミルクが この黄色いカレーに含まれていると思うと 我知らず涙がこぼれます |
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前世紀から数十年で枯渇すると言われ続けた化石燃料が千五百年は 絶えることなく地表は地盤沈下しつづけたらキャベツ大統領がサブ マシンガンを/ぶっ放す べっとりとした塗料のマトリョーシカのような過剰包装がねっとり と巻き付いた古いビニールテープのいやさらしさで双頭のイルカが 火炎放射器を/ぶっ放す エコロジストで200ポンドのクイーンがジャンクフードジャンキー でペットボトルのコークが手放せなくて鼻の曲がる笑い袋がスタン グレネードを/ぶっ放す エノコロ州地下の核医学研究所の遺伝子操作がエキノコックスな毒 キノコでオーヴァードーズ廃詩人が原子力潜水艦からパトエリオッ トミサイルを/ぶっ放す あれよあられよぶっ放す |
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廃倉庫の鉄扉が開くたびの軋みに 小鳥たちの中で蝙蝠だけが鳴いた 彼は電線に留まることができない 額を擦りつけて祈るように餌付く 実像は偶像より醜く見えるようで 誘蛾灯の偽り続けた青光を射抜く 振り子は絶えず首狩り鎌を振るう |
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『食べられません』のラベルを貼り続けました。 あらゆる無生物に。 よくよく考えてみれば、 生きるというのはたったそれだけのことでした。 樹氷の白にくるまれながら、 ぼくがぼくの姿形をあえて残したのは、 たったそれだけの微熱なのでした。 |
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散りはらう街路樹のもとに傘はない 銀杏の枯葉をしとど踏みしめながら 右の黄金瞳が枝葉と灰色の彼岸を見透く 代名詞を求めない陽光に臨めたとしたなら ひとつの名前できみを翡翠と数えただろう ひりり、濃紺の水溜まりをすくう手のひらの感触 ・ あるいはすくえない |
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空が死んだら 硬貨(コイン)の一枚で溢(あふ)れてしまいます 働きづめた粗忽な人差し指ではぬぐえない ほんの一枚分のしがない虚数(i)が 深海へと零(こぼ)れ落ちてしまいます 人が死んでも星が死んでも 空はいつも死にません |
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――枯葉は音楽を奏でない それは眺めるような距離で それは宥めるような虚無で 振り仰ぐは空 砂礫のように ちいさなちいさな命題を 血の脈動している定言を 我は証明し続けなければ ただ枯れ果てることはできない うたえよ 焔を宿したすこやかなる木々よ ――実 秋は咎人を救うことはない ただ哀しみを拭うことはある ――母 紫陽花の花の濡れるころ ただ生きること死ぬること ――父 山法師の葉の散れるころ 天然自然に略図のないこと ――理 無音で拡いた瞳孔によりて 無言の視線を受け給う 距離の果ては刻に満ち 虚無の刻は過ぎ去った ――吼えよ 猛き角の牡鹿よ ――響け 鬨の声(ウォークライ) 高く連なる尾根から 幾つもの峡谷を越え 生の饗宴へと |
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