黄昏時のラクガキ
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ブランコ式訓練器具


「そもそもこのブランコという乗り物はね、大航海時代の15世紀末、ポルトガル国軍海将のパスト・デ・ヤンスという人が考案したものなんだ。その彼は常に白いマントを羽織っていたために、通称・ブランコ将軍と呼ばれていた。それでこの乗り物にはブランコ式という名称が当てられたんだ。元々は新入り海兵達の船酔いを克服するための陸上訓練器具として用いられたんだよ」
という出鱈目な法螺話を思い付いて、口角を上げて笑みを作ろうとした時だった。
不意に彼女は俯いていた顔を上げ、仰角17°のどこか一点を見つめながら口を開いた。
「わたしがなれなかった自分がいて、それによって、わたしのいなかった世界ってあると思うの。でも、ここではないどこか、っていうのはどこにもないんだわ」
機先を制される形になった僕は、いったん作りかけた笑顔の表情筋に力を込めるのも忘れて、いわゆる、ぽかーん、という表情をしていたのだと思う。
彼女は一度、つよく地面を蹴り上げて、ブランコを後ろへと振ってから、制服のプリーツをはためかせて飛び降りた。
「バイバイ。ここでいいわ」
僕は駆け去っていくローファーの高い靴音を聞きながら、
徐々に揺れ幅を小さくしていくブランコを眺めていた。
そして、なぜ公園のブランコがどれも一対で一組であるのかが、
少しだけ分かった。





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2010-10-21 Thu 21:41
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